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部下からの難しい質問
「やりたいキャリアを実現できると聞いて入社したんですけど、ずっと違う仕事ばかりです。」
「なぜ今年は昇給がないのでしょうか?かなり努力したつもりなのですが…」
「なぜ同期が昇進する中、私はしないのでしょうか?」
こうした質問はいくら経験のあるマネージャーでも答えにくいものです。
でも大丈夫!
正しく準備をすれば、思っているよりも簡単にポジティブな結末に導けます。キャリアの質問に上手に回答することができれば、会社に否定的だった部下でも面談が終わる頃にはモチベーションを高めることが可能です。
昇進、昇給、アサインメントの決定など、部下とのセンシティブな会話には次の5つのステップを実践しよう!
難しい質問に対応する5つのステップ
1. 共感をしよう
部下のために解決策を考える前に、まず自分の思考をゼロにして、相手の言い分に共感しましょう。
これはアクティブ·リスニングのスキルで、部下の言葉に焦点を当てることで、部下はよりあなたに親身に話しかけてくれ、コミュニケーションに積極的になるため、ホンネを引き出しやすくなります。
部下のことをよく知っている場合、心の中では「あなたが昇進しないのは〇〇ができていなからだ」など思いつくことが色々あるでしょう。
ここはグッと言いたいことをこらえて、白紙で客観的に相手の言い分を聞いてみてください。そうすることによって、自分の持っている相手に対する偏見や固定概念をなどを排除し、今まで見えていなかったものが見えるようになります。
ひと通り相手の立場を客観的に聞いた上で、その従業員の経歴や、職歴、不満の元になっている要因について考えてみましょう。
2. 事前準備をしよう
年次評価の面談において「来年の給与が今年と変わりませんでした」と話さなければならない場合、部下から質問が想定できると思います。そうした面談の会話を想定したロールプレイを行ってみましょう。誰かと事前準備ができればベストですが、もし誰かと共有できない場合は一人で練習を行いましょう。一人の場合も質問と回答を書き出してみて、声に出してみましょう。この言い方の方が丁寧だな、とか、この言い方はちょっときついな、と自分の耳で聞いて事前に確かめておきましょう。
Q&Aをシュミレーションする際のポイントは、すべての従業員は努力している、報われるべきと思っている、と想定することです。相手の立場に立ってあなたが伝えようとしているメッセージがどのように受け取られるのか自分なりに考えておきましょう。
3. 相手から自己評価を引き出そう
あなたの見解を共有する前に、まず部下から自己評価を引き出しましょう。できたところ、できなかったところ、今後改善したいと思っているポイントを相手から自主的に引き出しましょう。前述した通り、相手の意見を先に聞くことで、より素直なホンネが聞き出せる可能性が高まります。
先に話してもらう利点としては、部下の自己評価とマネジャーから見た部下の評価を両方とも話すことができることです。部下が課題点を認識していないようであれば、それに気づかせてあげることができます。
上司が先にお前はこうだ、と言ってしまった後でその答えが部下の思いと大きく違う場合、部下は自分の正当性を訴えることが精一杯となり、目標であった部下のモチベーションを引き出すことは難しくなるでしょう。
4. データを元に話そう
面談の前に事前に過去の事例やデータを作成して会議の意図を明白にしましょう。パフォーマンスの向上について話し合う場合は、改善が必要な事項について例を示す、複雑な場合は文書を作成し、できる限り客観的にわかりやすく提示しましょう。データを事前に準備しておくと会話がスムーズに進みます。
「あなたは生産性をもっと上げなければならない」と漠然と伝えるより「あなたの過去3ヶ月間の〇〇は過去1年間(あるいはチーム平均)と比べてX%下がっています。何が原因だと思いますか?」という質問ができれば、上司から部下に対するパワハラや根拠のないクレームと思われるリスクは回避できます。
5. 落ち着いて対応しよう
当たり前かも知れませんが、自信を持って落ち着いて面談に挑みましょう。そして、前向きなエネルギーで会話を進めましょう。まず、会話をこういう結末に導かせたいな~と想像(もちろん、ポジティブな結果です)してみてください。そこから逆算して、会話をどのように進めたいか全体の会話の流れを想定していきます。
また、面談を通して部下と絆を深め、さらに成長してもらうのが目的です。ベストな結果は、部下が自分で課題を発見し、前向きに捉えてモチベーションを維持してくれるということです。したがって、あなたがアドバイスをしたり、叱ったりしなければならない、と思う必要はありません。
時には感情的になって会話にならない時があります。その時はどうしたら良いのでしょうか?
感情的になり会話が成立しない場合は、会話を中断し相手が落ち着いたときに議論を再開しましょう。
相手が全く話してくれない時があります。その時はどうしたら良いのでしょうか?
相手が話してくれるのを辛抱強く待ちましょう。沈黙に耐えられず、あなたが推測して相手がどう思っているかを話始めると相手に突っ込むポイントを与えます(やっぱり、そういう風に私を見ていたのですか!など)。相手から話してもらえるように落ち着いて対応しましょう。
部下をより良く理解するための質問
従業員を知る最良の方法は、適切な質問をすることです。
あなたが従業員のことをよく知らない場合、キャリアの会話をするのは難しいでしょう。
従業員の興味、スキル、情熱、願望を聞き出せれば、従業員が持つ強みをどのようにキャリアアップに活かせるかを考えることができます。
あなたの強みは何ですか?
そして強みを活かした成果を達成した時はどのような場面ですか?
あなたはどう評判されていると思いますか?
あなたの自分自身の目標や抱負は何ですか?
あなたの強みや経験を活かしてどのような貢献をしたいですか?
どのしたらさらに大きな貢献をすることができると思いますか?
キャリアの目標を達成するには、どのようなトレーニングが必要ですか?
まとめ
昇進・昇給など、マネジャーは難しい会話を部下としなければならない場面があります。
難しい会話をする前に5つの準備を行っておきましょう。
想定質問を考えて、適切に答えていけるようになるにはある程度の経験とトレーニングが必要です。
こうした状況に対処できるスキルを付けれるよう専門家からアドバイスやトレーニングを受けてみるのも良いと思います。
また、こうした会話を通して部下をより良く理解することが大切です。
質問を通して部下の興味、スキル、情熱、願望を聞き出して、アドバイスに厚みを持たせましょう。