世界中から優秀な人材を採用するAmazon。その面接の難易度が高いのは事実ですが、奇抜な質問がされることはありません。実は、ポイントさえ押さえて適切な準備ができれば、合格する可能性はかなり高くなります。この記事では、Amazonのポジションに応募する前に知っておくべき10個の実践的アドバイスをお伝えします。
目次
Amazonのリーダーシッププリンシプルを学ぶ
Amazonの面接を受けますが、どう準備をすればよいでしょうか?
この質問に私は、何よりもまずAmazonのリーダーシッププリンシプルを完全に理解することから始めてくださいとお伝えしています。
企業理念や社訓は多くの会社で「仏作って魂入れず」の状態ですが、Amazonは違います。14もあるリーダーシッププリンシプル(2021年7月より16個に増加)は、採用や昇進といった人事決定にとどまらず、すべての意思決定プロセスの判断の拠り所として組み込まれています。
つまり、候補者を採用する・しないは、候補者がAmazonのリーダーシッププリンシプルを持っているか、持っていないか(あるいは、期待値を上回っているか、下回っているか)という評価に基づいて行われます。
「私はマネジャーじゃないし、リーダーではない」
という人、安心してください。
Amazonでは新入社員も含めすべての従業員がリーダーである、という考え方のもと、それぞれの経験やレベルに応じてリーダーの資質を持っていることが求められます。例えば、結果にコミットする、というリーダーシップの要素をAmazonでは”Deliver Results”と言います。
ここでお伝えしたいことは、Amazon以外のどんな仕事についていてもAmazonでいうリーダーシッププリンシプルは多かれ少なかれ皆持っているはずであり、Amazonのリーダーシッププリンシプルは他の会社でも通用するということです。
Amazonの面接テストのテーマは、14のリーダーシッププリンシプル(2021年7月より16)に限られています。面接の準備のためには、各テーマに合致する、あなたのこれまでの仕事の内容(結果)を深く考えて準備する必要があります。例えば、”Deliver Results”であれば、難しい状況の中でも結果を出したエピソードを準備します。
過去の実績を書き出す
14のリーダーシッププリンシプルすべてについて、面接官の前でその場で思いつくのは容易ではありません。面接の前に回答のメモを準備しておきましょう。COVIDの状況下、オンラインで面接が行われる場合が多くなっていますが、PCに取ってあるメモを頼りに話すには良い状況だと思います。
Amazonの面接官は、行動面接のテクニックで面接を行うように訓練されています。
行動面接とは、候補者の過去の経験や実績から行動パターンを把握し、将来(入社した後)、どのようなパフォーマンスを発揮するかを予測する面接の手法です。
コンサル系の会社であるような仮説的な質問(例:ピアノを調律できる人は世界に何人いるか)や、自由形式の質問(あなたの強みは何ですか)の準備をする必要はありません。
行動面接では、ほとんどの質問が「あなたが○○をした時の例を教えてください」という形式をとり、○○には14のLPのうちどれかを試すキーワードが入ります。例えば、”Deliver Results”であれば、「難しい状況の中でも結果を出した時の例を教えて下さい」という形です。
STARになる
行動面接に効果的に答えるためには、STARメソッドをマスターする必要があります。 熟練したAmazonの面接官は、単に質問をして、次の話題に移るだけではありません。 彼らは、あなたのエピソードにおいて、あなたがどのように行動し、どのようにリードし、どのように結果を出したかを理解するまで追加質問をします(ときに意地悪に聞こえるかもしれません)。
STARは、Situation(状況)、Task(課題)、Action(行動)、Result(結果)の頭文字をとったもので、面接官は、あなた、あなたの会社、あなたのチームが置かれている状況、プロジェクトや問題においてあなたに課された課題、あなたがとった行動、そしてその結果(測定可能な)を包括的に把握する必要があります。
もし、あなたがうまくSTARで具体例を提供できれば、面接は円滑に進みますが、あなたの回答に具体性が欠けていたり、主体性が感じられない場合には、意地悪な追加質問が続くか、面接が想定時間よりも早く終わってしまうでしょう。
簡潔な説明を心がける
面接での質問にダイレクトに答えられず、延々と回りくどく答えている場合は減点対象となります。面接官にとって、質問に直接答えていない長ったらしい回答をする候補者ほどイライラするものはありません。
回答はSTARで簡潔にロジカルに答えるように心がけます。
具体的なエピソードを思いついたら、ストップウォッチを持って練習する、自分の声を録音しながらどのように話しているか客観的に聞いてみる、または、友人やキャリア・アドバイザーなどに答えを聞いてもらうというのも方法の一つです。
明確で整理されたエピソード
面接の回答は、エピソードの内容を箇条書きで整理して準備しましょう。
例えば、
このプロジェクトを短期間で完成させるために、次の3つの行動を取りました。
製品の詳細について関係するチームと調整し、必要なスペックを文書化した
エンジニアが合意したプロジェクトのタイムラインを作成した
作業を開始する前に、この内容で実行することにCEOから承認を得た
出来る限りロジカルに準備します。
面接官からの質問に自信が持てなかったり、明確でなかったりする場合は、「今のは〇〇という質問だと思うが、XXという話をしたいが良いか」と質問の趣旨を明確化してもらうか、
代替的エピソードを話してよいか聞いてみます。
また、本当に何も出てこないときは、正直に答えがないと答える方が無難でしょう。
質問を “推測 “して答えると、テスト中のリーダーシッププリンシプルを面接官が評価できないばかりか、コミュニケーション力がない人だと見られるリスクが高くなります。
Amazonを知る
就職・転職は、人生の中で最も大きな決断のひとつです。その決断を軽視してはいけません。 どのような会社や文化が自分に合っているかを判断するのはあなた自身です。自分に合った文化を持ち、やりがいを感じ、成長の機会がある会社に就職・転職すれば、きっと成功するでしょう。
もしあなたが企業文化を本当に受け入れていなければ、採用されてもそのうち不満が募り、次の会社に行くことになります。
ここでは、Amazon(または他の企業)の面接を受ける前に、会社を知る方法を紹介します。
会社の製品やサービスの長所と短所について、自分の実体験に基づいた見解を持つ
競合他社の製品やサービスについても把握する
会社のプレスリリース、ニュース、財務報告書などを読む
その会社の歴史や、現在直面している機会や課題について理解する
現役の社員や過去に働いていた社員に聞いてみる
Amazonの公式採用サイトにAmazonの文化の紹介も出ています。ショートビデオにも目を通しておきましょう。
思慮深い質問をする
典型的なAmazonの面接は1面接官につき約1時間ほど行われます。
各面接の最後の10分から15分は、質問をする機会があります。
この時間を賢く使いましょう。
最悪なのは、自分からは質問がないと言ったり、下調べをしていないことを示すような質問をしたりすることです。
また、「私はこのポジションに適していると思いますか」や「面接の質問にすべてうまく答えられましたでしょうか」などと聞かないでください。会社は募集するポジションにマッチした自信に満ちた候補者を採用したいと思っています。
面接の最後に適切な質問をすることは、候補者としてのあなたの価値を高めるだけでなく、会社があなたを採用することがウィン・ウィンであることを確認する作業でもあります。
以下の記事の最後に逆質問の対応の仕方がありますので、必ず目を通しておきましょう
バーレイザーを理解する
Amazonの面接で特徴的なのは、面接官の中にバーレイザーと呼ばれる人がいることです。 バーレイザーとは、Amazonの面接プロセスの専門家で、Hiring Managerとは独立した面接官として、面接と意思決定のプロセスが守られているかどうかを確認する面接官です。
バーレイザーはバーを上げる人という意味ですが、採用の品質を担保するために、Amazonが取り入れている仕組みです。バーレイザーは、Amazonで新規に採用する人は既存の従業員の50%よりも優れた人であるべき、という基準(概念的な基準)を持って採用・不採用のコントロールを行います。
バーレイザーは、採用しようとしているポジションとは異なるチームや部署で働いているので、たいてい見分けることができます。バーレイザーと分かっても、何も恐れることはありません。緊張せずに、自分が十分に準備していることを信じて、自分らしくここで紹介したヒントに従って面接に挑みましょう。
ライティングのテスト
ポジションによっては、ライティング・サンプルの提出が求められることがあります(日本では一般的ではないようです)。
ライティングには何よりも思考の明瞭さを重視し、文書の内容よりも明確かつ簡潔に書くようにします。Amazonでは文書を書くということが常に求められます。面接官になって面接する場合もそうですし、何かチームで決め事をする場合にも、誰かが文書を書いてそれを読み合わせて決定します。
ドキュメントの最後に、よくある質問(FAQ)をいくつか追加することを検討してください。 優れたFAQは、お客様から寄せられる最も可能性の高い質問や懸念事項を理解していることを示します。FAQを適切に使用することで、あなたがAmazon Narrativeのコンセプトを理解していることを示します。
加点を狙うには
面接後のお礼状は必須ではありませんが、書いておいて損はありません。お礼状を出す場合は、速やかに出し、面接官との会話について具体的に書きましょう。
もし、面接の中のエピソードで失敗したと感じた場合は、その点を自分で指摘し、失敗した点を述べた上で、面接の時に言っておけばよかったことを面接官に共有しましょう。このようなフォローアップで採用・不採用の投票が変わることは大いに考えられます。
また、面接の前に面接官が誰かを推測しましょう。誰が面接を行うかを教えてくれた場合は、事前にLinkedInなどで面接官をチェックして、その人の役割を理解し、何かつながりや共通点があるか調べてみます。
よくある質問
Q:Amazonの面接官は、面接中にノートパソコンでメモを取るのに忙しいと聞いたことがあります。 これは本当でしょうか、また彼らは何をしているのでしょうか?
A:はい、面接官は面接中に大量のメモを取ります。彼らはそのメモを他の面接官と共有します。 そのため、面接の中でエピソードは複数容易しておくことが大切です。同じ回答を何度も使ってしまうと、あなたにあまり経験がないように思われるリスクがあります。
Q:Amazonでは、ソフトウェア開発エンジニアのような役割のテクニカルインタビューをどのように行いますか?
A: Amazonでは、リーダーシッププリンシプルに関する行動面談に加えて、ソフトウェア開発の職務については、コーディングやアーキテクチャの面談も行ってきました。 具体的なコーディングやアーキテクチャの問題について質問されることが予想され、ホワイトボードに向かってコードや問題に対する解決策を書き出すことが期待されます。
Q: 14のリーダーシッププリンシプルのそれぞれについて、Amazonの面接官が質問しそうな具体的な質問の例を教えてください。
A:参考になるサイト(英語)をご紹介します。
Q:Amazonの面接には、14個のリーダーシッププリンシプルすべてについて、エピソードを準備しなければならないのでしょうか。
A:通常、1つのエピソードで複数のリーダーシッププリンシプルをカバーできるはずです。エピソードは少なくとも3〜4つ容易し、リーダーシッププリンシプルの大部分をカバーできるように準備しましょう。