給与交渉の方法は学校や会社では教えてくれません。日本人はそもそも交渉慣れしていない国民ですが、国民性や文化によって交渉に対する考え方が大きく違います。それは、給与交渉でも例外では有りません。
2012年にLinkedInが行った調査では、キャリアでの給与や昇給の交渉に対する世界各国の考え方の違いが明らかになりました。対象は8カ国だけでしたが、全体の35%の人が交渉について不安や恐怖を感じていると報告しています。残りの34%は自信があり、10%は交渉好きで、10%は交渉に無関心だと答えています。以下は、国別のハイライトです。
- ブラジル人は、交渉に怯えていると回答した割合が最も高く21%
- ドイツ人は、交渉に対して最もポジティブで「交渉が楽しみ」と答えた回答者の割合が最も高く21%、「自信がある」は2番目に高く43%
- 交渉に関して最も自信を持っている国はインドで、インド人の47%が「交渉に自信がある」と回答
- アメリカ人は、交渉に関して最も不安を感じており、全体の39%
- 韓国人の21%は交渉に無関心(全体でもっとも関心がない)
私の感覚では、日本人は韓国人と近く、社内昇給でも転職時の給与決定路においても、給与を交渉するのがあまり得意ではない(慣れていない)と思われます。今回は、転職時の給与交渉に際して避けるべき7つのことについてまとめてみました。
1. 自虐的な言葉を使う
“予算に余裕があるかどうかはわかりませんが…”
“検討していただけるかわかりませんが…”
“こんなことをお願いするのは申し訳ないのですが…”
自虐的な言葉は、あなたを弱い立場に追いやり、採用担当者があなたにノーと言うのを容易にします。交渉に慣れていなくても、自信を持ちましょう。自分が期待値(実際の期待値よりちょっと上)を提示し、しっかりとした理由を述べ、笑顔で相手の反応を聞きましょう。
2. 最初のオファーで合意する
雇用主は、交渉の余地があることをあなたに見せていないことをお忘れなく。雇用主からの最初のオファー金額で合意してしまうのは得策ではありません。
私は、雇用主側で多くのオファーを出してきましたが、システムから出てくる標準的な数字を鵜呑みにする候補者が何と多いことか… 雇用者側はラクですが、これまでの面接での努力を無駄にしないようにしましょう。
相手から最初のオファーを受けた時、ショックを受けたような演技をしてみましょう。最大限の効果を得るためには、相手のオファーが「5万ドル」であれば、「5万ドル?」とオウム返しをして、十分な時間、沈黙します。
その後、正当な理由と共にカウンター・オファーを出します(配慮してくれたお礼も添えておきましょう)。
3. しゃべりすぎる
「沈黙は金なり」
沈黙は非常に居心地の悪いものですが、これをうまく利用しましょう。雇用主のオファーにすぐに答えるのではなく、沈黙の時間をとって考えてみましょう。沈黙によって相手が緊張し、あなたが何も言わなくてもオファーを改善してくれるかもしれません。
オファーの金額を決めているのがHRであればチャンスです。HRは長い面接の結果、どうしてもあなたを採用したいと思っています。相手の弱みを知りましょう。
交渉を成功させるには、相手が何を重視しているかを理解し、それを達成するための手助けができるかどうかにかかっています。これは、聞くことによって達成できるのです。
4. 交渉に柔軟性がない
あまりにも固いスタンスで臨むと、双方が納得できる解決策を得るのが難しくなります。
場合によっては、あなたの給与がすでに高すぎて会社の決まりからそれ以上高いオファーを出せないことがあります。年収10万ドルは無理でも、サインアップ時のボーナスやリロケーションに関するボーナスの追加支給、週2日の自宅勤務(あるいはフレックスタイム)などを交渉できる場合があります。
5. 自分を低く見積もる
交渉のプロ、キッシンジャーによると、「最初の要求を過大にできるかどうか」が交渉の結果に大きく影響します。
常に自分が期待している以上の金額を要求すべきです。そうすることで、雇用主はあなたの当初の数字を下げさせたことで、「勝った」と感じることができます。また、高い数字で始めることで、あなたの価値を高めることができます。
あなたの要求を裏付けるためには、現職の給与を新しい雇用主に伝えるだけではなく、あなたが会社にもたらす利益(あるい削減できるコスト)、あなたの経験がどれほど組織にプラスになるのか、同等のポジションの市場価値など、を雇用主に説明しましょう。
(面接時に質問される場合もあります。以下の記事を参照。)
6. 必死さをアピールする
あなたに他の選択肢がなく、このオファー以外に選択肢がないことを相手側が知ってしまったら、あなたは交渉力のほとんどすべてを手放してしまいます。
たとえ他にオファーがなくても、満足のいく合意が得られなければ手を引くという態度を示すべきです。あなたの立ち去りポイントをあらかじめ決めておき、それを守りましょう。
逆に、もっとも効果的なのは、他のインタビューが同時に進行しているということを示すことです。雇用主としては、ここまで面接をしてオファーを出したい候補者にこの段階で逃げられたくはありません。
7. 電話での交渉
出来る限り直接会って交渉するようにしましょう。
ある調査によると、コミュニケーションの60%以上は非言語的なものだそうです。雇用者が何を考えているかを十分に理解し、コミュニケーションをとるためには、実際に会って話す。そうすることで、感情的につながることができるのです。
握手をしたり、笑顔を見せたり、冗談を言って笑ったりするたびに、相手はあなたに愛着を持つようになり、それを利用することができるのです。
現在では、オンラインによる面接が主流になりつつあります。給与などの条件面といった重要な話をする場合も、少なくとも電話よりZOOMなどのオンライン形式を依頼しましょう。
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まとめ
以上、転職時に給与交渉をする際に陥りやすいミスについてまとめてみました。
あなたは念願のポジションに受かることができましたが、これから困難な業務や新しいチャレンジが待ち受けています。
与えられた責任以上に給与を得られれば、苦しい仕事だって頑張れますし、次の転職の際にも高い給与は有利になります。
せっかく掴んだオファーです。
安売りをせず自信を持って交渉に挑みましょう。