リーダーは常に高い水準を追求します。この水準は高すぎると感じられるかもしれません。リーダーは継続的に求める水準を引き上げていき、チームがより品質の高い商品やサービス、プロセスを実現できるように推進します。リーダーは不良を下流に流さず、問題を確実に解決し、再び同じ問題が起きないように改善策を講じます。
(アマゾンのリーダーシップ·プリンシプル「Insist on the Highest Standards」Amazon HPキャリアサイトより)
目次
オペレーショナル・エクセレンスの意味
日本語でうまい言葉がないのですが、平たく言えば、組織のオペレーションの効果·効率を「徹底的に」磨き上げることによって、競争上の優位性を構築すること、でしょうか。
品質向上に伴う顧客からのクレームの減少と顧客満足度の向上が目指すところです。
リーダーは高い水準を組織として設定し、チームがそこに向かって努力することによって、チームやそのメンバー一人一人のオペレーションの効率化や生産性に関するスキルが向上します。
オペレーショナル·エクセレンスのマネジャーの責任
マネジャーは、製品、プロセス、あるいはソフトウェアが適切に動いているか、顧客の満足度を満たせているか、チームは結果を常に測定できているか、また課題や問題が発生したときにはタイムリーに解決を行えているか、といった事項にフォーカスします。
オペレーショナル·エクセレンスを実現するには、次の4つのアクションが不可欠です。
1. メトリックス(数値による指針)の設定
まず最初に、顧客が良いサービスを受けているかどうかについて数値的に判断できる基準つまりメトリックスを作成してください。
これはカスタマーサービスの場合だと、電話対応後の顧客アンケートの結果かもしれませんし、製造部門であると顧客からのクレームや欠陥品の数かもしれません。
2. サービス·レベル·アグリーメント(SLA)の設定
SLAは、カスタマーに約束したサービス水準だと考えてください。
SLAはできればメトリックスで(数値的に)客観的に定めます。例えば、コールセンターなら受けたコールの98%を1分以内に応答する、製造部門なら製造時の欠陥品を0.1%未満にする、などです。
SLAは外部顧客との間では契約書に書かれた品質水準あるいは生産性水準になると思います。
もし、あなたの部署が直接外部の顧客と接する機会がなく(例えばファイナンス部門)、関連部署があなたの部署の顧客であれば、そうした内部顧客に対してもSLAは設定すべきです。
SLAの決め方としては、カスタマーが要求する最低限の水準で設定する方法もありますが、リーダーはより高い水準を目指します。
ポイントは最大限の水準をまず考えて、努力してギリギリ達成できるかどうかの水準にします。
あまりに高い、あるいはあまりに低いと達成のモチベーションが湧いてきません。
3. 定期的にSLAの達成度合いを確認
定期的にメトリックスをレビューし、SLAという結果にコミットすることが、組織としてのオペレーショナル·エクセレンスの達成につながります。
カスタマーサービスを例に取ると、カスタマーからの問い合わせに対しては一度でカスタマーが持つ問題を解決し、同じカスタマーから同じ問題で何度も問い合わせがないようにすべきですよね。
仮に、過去に同じカスタマーから同じ問題で問い合わせを受けた率が全体の10%ぐらいあったとしましょう。
マネジャーは本来あるべき姿(0%)を理想として、チームが工夫してもどうしても防げない理由(例えば、話し相手が欲しいから電話をしてくる人がいる)などを考慮しながら、そうした問い合わせを全体の1%以下に抑える、といった形でSLAを設定します。
もし、あなたの部署や会社が顧客主義であるならば、あなたの責任(及びチームの責任)としてSLAの目標値を決め、組織全体で達成度合いをモニターすべきです。
4. チームとSLAをコミットする
メトリックスのレビューをチームで行い、SLAを満たしていることを定期的にモニターする一方、マネジャーはSLAを満たすことが組織の最優先事項であることをチームに共有する必要があります。
単に大事だ、というだけでは、チームは本気でSLAに向き合ってくれないでしょう。
必要に応じて、達成した人やチームを表彰する、また、達成した人を評価し、達成しなかった人を評価しない、といった人事評価をチームの構成員と共有します。
1年を通してチームがSLAを達成したらどうしましょうか?
もちろん、チームとしてお祝いをしましょう!
そして、来年にはより高いSLA目標を設定するのです(Insist on the Highest Standard)。
Amazonの2017年の株主レターからの引用
最後に、リーダーが高い基準をどうやって身につけ、維持して、さらに高めていくか、以下の引用を参考にしてください。
私がAmazonを始めたとき、開発、カスタマーケア、そして(ありがたいことに)採用について高い基準を持っていました。しかし、当時の私はオペレーション·プロセスについて高い基準を持ち合わせていませんでした。直した問題を再発しないようにする方法、問題を根本原因から排除する方法、プロセスを検査する方法など、そうした知識を持ち合わせていませんでした。私はそのすべてについて学び、高い基準を打ち立てなければなりませんでした(私の同僚たちが教えてくれました)。こうした理解によって私は謙虚になることができました。自分自身がリーダーとして高い基準をもって仕事をしていると思っている人は、今一度自分自身に問いかけてみてください。自分の基準が低いかどうかも知らないだけだったり、存在もしない基準で運用していたり、ましてや世界クラスでの基準なんてあり得ない。と、まずはそうした可能性を受け入れることが重要なのです。
– ジェフ·ベゾス Amazon CEO